議会の休会日を使って、岩手県盛岡市での学会という場に参加し自身の研究発表をしてきた。その際、遠回りになるが一度は訪ねたいと思っていた岩手県遠野市に宿をとった。一度は訪ねたいと願った理由に、もちろん、遠野物語という民話の生まれた場所、そして、宮沢賢治の銀河鉄道の夜の舞台となった場所として有名だからはあるが、それ以上に、6年半前の東日本大地震の際に、大災害に見舞われた沿岸部に対する前線基地となって、被害が少なかった内陸部の遠野が大きな貢献を果たしてきたからである。
 誰かを助けることができた誇り、白壁の倉、宮大工さんがつくったかのような市民のシンボル市庁舎等々、美しく凛々しい町である。昼には到着して、博物館など巡る予定が、家族諸般の事情で夕方近くになってしまい、役所の資料コーナーだけは訪問できたので来たかいがあった。
 市役所に掲げられていたパネルに「地域づくり、人づくり、健康づくり、人口減少を防ぐのではなく、人口減少に見合った社会をつくります。」と方針が掲げられていた。我が鎌ケ谷市は首都圏にあるせいかもしれないが、「人口奪い合い競争によって人口減少を食い止めよう」という意識が随所に見られる。このつらいスローガンから解放されるには、人口減少への強迫観念を捨て去ればよいだけだと思う。所詮競争しあって誰かに勝ったとしても、誰かに負けて、結局この競争に勝つものはいないのではないか。とするなら、遠野のように人口減少に見合った社会スステムにつくりかえ、不要な投資も止めるべきである。対策は様々あるし、穏やかに人口減少に向き合うことができるからである。
 12月議会ではこの辺りの方向性と具体策を質問に組み込んでみようかと、今日は議場にてそう考えたところだ。

9月竣工したばかりの遠野市役所 市民は喜んでいるという

庁舎床は本物の木材

まちづくりの目標が掲載

JR釜石線は銀河鉄道の夜の生まれた場所