【寄稿文】
松下文洋(岩波初美とともにアクアライン800円仕掛人)
ミープラン都市総合分析システム開発者
講談社現代新書『道路の経済学』著者

2002年岩波初美さんからの依頼で、アクアラインの通行料金に伴う通行台数を予測したのが、アクアライン800円運動のスタートでした。当社と英国ケンブリッジ大学で開発した都市総合分析システム「ミープラン」は科学的データを打ち出し、それに着目していただいたのです。
都市が元気にならなければ、いずれ福祉も医療も成り立ちません。都市を元気に、住んで楽しいものに変えるにはどうしたら良いのでしょうか。
特に、町を元気にさせるには新しい産業を興そうとする人や住宅を建てたいと思う人にとって魅力ある地域であることが欠かせません。その魅力は近代経済学では地価と交通費で決まると考えられています。つまり、高い鉄道料金によって本来立地するはずの企業・住宅がほかの地域に奪われ、結果として地価を相対的に下げて、皆さんの資産価値を減らしているのです。加えて、鉄道料金が高いために乗用車を多用することになり、道路は渋滞し、CO2をまき散らしてしまっていると言えるでしょう。

運賃が高い➡魅力低➡地価が低い
鉄道料金比較 距離約16㎞の運賃
路線 区間 料金
北総鉄道  640円
(西白井~印旛日本医大)
東葉高速  630円
(西船橋~勝田台)
つくばエクスプレス 470円
(北千住~流山セントラルパーク)
京成線 320円
(船橋~勝田台)
JR線 310円
(船橋~千葉)
京王線 260円
(調布~京王堀之内)
小田急線 250円
(向ヶ丘遊園~相模大野)
高い運賃への自衛手段として、印西市民は路線バス運航をバス会社に依頼し、英断を下したバス会社によって、“生活バスちばにう”が運行している。住民をここまで行動させる鉄道とは公益事業といえるのか?