2017年5月4日の朝日新聞朝刊で奨学金が特集されていた。姪が二人、貸与型有利子奨学金を受けたので、その連帯保証人になっていることから、かなりの利用率だろうと思っていたが、やはりそのようだ。二人に一人は利用しているという。その九割は貸与型ということで、無利子もしくは有利子で卒業後返済をすることになる。
 以前、デンマークの教育無償の情報を得ている中で、無償で学校で学べるということは、当然、自分自身が働くようになってから納税によって、無償制度を支えてくと言う感覚が浸透していることを知った。税率は高いが、教育も医療も福祉も自己負担はないので貯蓄の必要はなく、可処分所得が高く、人口当たり経済力は日本をはるかにしのいでいる、豊かで美しい国だ。200年前に書かれたアンデルセン童話マッチ売りの少女にあるような、子どもが凍死するような貧困をなくすには、教育しかないということで、人への投資を重要視した結果という。
 私も議員として住民の生活状況や子供たちの状況を知ることがある。中学生での学力の遅れは、今後の人生に希望を持つことが難しくなる。特に、経済的支援が必要な家庭の場合、親による適切な対応が取れない場合も多い。自身で何か次なる一歩を踏み出そうという気持ちを支える制度、それも現在の支援機構や政府が対応出来ない部分(学力要件、親の収入要件)を、自治体が受け持つことができないだろうかが、私の目下研究テーマである。
 子どもだけではない、子育てを終えてから、新たな転職として、自身のスキルアップを図り、専門業務につくことを望む場合にも、活用していけるような無利子貸与型奨学金があればその気持ちを後押しできるに違いない。市が低利子で借り利子分は市民が負担いただくとして、その運営に人件費はかかるとして、返済が滞るためのリスク回避をどうしようかと思っている。本人が保証機関に保証料3~6%を支払うことで、機関保証はつけられるようだ。しかし、全く使うことのない人にこれだけの保証金を入れていただくのはもったいない限りだ。それよりも別途、収入に応じて返済額が変わる所得連動型奨学金返済制度を導入した方が良いかもしれない。償還年数にバラつきがでてくるが、返済終了まで鎌ケ谷市に関わっていただくことになる。
 自治体の任務は、住民の福祉の増進である。鎌ケ谷市で育った子供たち、住民が一人でも多く、自立して納税できる社会人になっていただき、税によって他者を助けてあげて欲しい。だから、本人に意欲さえあれば誰もが使える奨学金制度が求められるのだ。