昨年度から大学院で学生をしている。今年は修士2年目ということで修士論文をしっかり取り組むようにと、担当教授にお尻をたたかれている。その資料として先般も復興庁職員に住民調査の全文掲載をお願いしたところだ。今回の研究で明らかにしたいのは、高齢化社会が存続するために必要な条件である。今回、福島県の被災地では帰宅できない地域が徐々に制限解除されてきており、各自治体は帰宅する住民のために真っ新な土地に新しい社会基盤を作る仕事に追われている。その基礎となるのが、避難中の住民意向調査である。
調査はグラフ等にまとめられて報告書の形態になっているので、示されている%から逆算して、実際求めている人数を出してみると、現実が目の前に迫ってくる。浪江町の調査を見ると、70歳代以上の400世帯がすぐ・いずれ戻りたいという。更に500世帯は住民が戻り、医療介護体制が整ったら戻るかを決めるという。少なくとも、50代200世帯、60代300世帯、70代400世帯が戻るということを想定して準備する必要がある。そこで、戻るにあたって掲げている条件、これは、被災地に限らずすべての自治体に共通することだが、医療介護体制と食品日用品の買い物ができることが強く示されており、戻るかどうか判断がつないという方の条件では、上記2つに加えて就労環境があることと周囲に戻る方がどの程度いるかということである。
今回の住民調査では、医療介護の中身までは尋ねていない。しかし実際、どのような医療介護体制を選ぶのか・・これは住民の生き方や終末期の迎え方に大きく影響する。総合病院があれば安心ということではない。そのようなものが新たに誕生する期待はない。訪問医療や予防医療などがおそらくカギとなるであろう・・この辺りを突っ込んで住民から聞き取る必要がある。買い物環境はどうあればよいか、住まいも希望は元の家を修繕して戻ることだが、隣近所が戻らない中では元の環境はなくなる。隣近所が存在する新しい住宅を選んでいく意向についてもっと聞きたい。加えて、生きることは働くことである。特に年代が下がれば同然この条件が必須となる。働き方を想定できるいくつかに分類して、もっと突っ込んで聞きたい。そのようなことを色々思いながら、日本人一人一人がもっと効果的に働き、価値を生み出す地域の有りようを示していくことに取り組みたいと思う。