今年1月25日、市長への手紙によって明らかになった鎌ケ谷消防署内での上司5名から部下への暴行傷害事件は、全消防署員152名へのアンケート調査と対象者への聞き取り調査によって、起こった事実の数々が明らかとなり、結果、2月22日5名への停職処分と5名への戒告と17名への文書訓告で決着となった。数年に及ぶ数々の事件は、わずか1カ月足らずで整理したというが、その内容についてはほとんど理解できていない。市議会議員には2回の報告とファックスでその結果が示されてきたものの、議員(市民)の立場から事の真相を聞き出す努力はほとんどできていない事に一議員として深く反省している。
我々議員に与えられたチャンスは年4回の定例議会での持ち時間1時間の一般質問しかない。ということで、6月24日~29日に実施される質問時間の中で、この霧の中の出来事を少しでも明らかにしたいと思う。それは、被害者・加害者だけでなく、鎌ケ谷市役所という事業所で働く全職員のストレスを和らげる事に繋がると思うからである。
人事院は公務員の懲戒処分の際の基準を定めて公表している。市はこの基準に沿って処分を決めたという。6月議会ではこの処分判断の妥当性をきく予定だ。更に、処分は役所内部の懲罰委員会で決めたということだが、上下関係故、抵抗できない相手に繰返された一方的暴行により、重傷者・退職者を出した以上は刑事事件として決着を求める事が適切ではないのか?なぜそれを選ばなかったのか?加害者の動機など十分聞き出せているか?
ちょうど先の5月16日、愛知県内消防署員3名が部下1名への暴行強要で逮捕され、主犯格が懲戒免職となったばかりである。その市役所は3月上旬に起こった事件を警察に相談しながら、2カ月かけての逮捕と処分である。刑事事件では、こうして警察等第三者機関にも関わってもらう事が一般的である。
人事院が公表している公務員の懲戒処分の基準
具体的な処分の決定に当たっては、次の内容で総合的に判断する。
①動機、態様及び結果
②故意又は過失の度合い
③職員の職と非違行為との関係
④他の職員及び社会に与える影響
⑤過去にも非違行為を行っているか
⑥日頃の勤務態度や非違行為後の対応等
標準例
■一般服務関係 ≪職場内秩序を乱す行為≫
他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
■公務外非行関係 ≪傷害≫
人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
■標準例に掲げる処分の種類より重いものとする場合
①動機、態様が極めて悪質、結果が極めて重大であるとき
②管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
③公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
⑤過去に類似の非違行為で懲戒処分を受けたこと
⑥処分の対象となり得る複数の異なる非違行為があった
■標準例に掲げる処分の種類より軽いものとする場合
①職員が発覚する前に自主的に申し出たとき
②経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあるとき
その他
地方公務員法第16条 (職を失う欠格事項)
禁固(懲役)刑以上の刑に処せられ、その執行が終わるまで
地方公務員法第29条 休職(免職)
刑事事件に関し起訴された場合