愛する我が子が、ある日突然妻によって連れ去られ、一切の交流が持てなくなった父親は、体調を壊し仕事にも手がつかず、自身の身に起きた現実を受け止めること、解決への対応策に一人で苦悩する…そのような父親からの相談も時々入る。連れ去り理由はあらゆるケース同様で、DVを受けた、性格の不一致等々だが、それは言ったもん勝ちで、事実かどうかを確認することはなく、行政が関わり、訴えた側と子どもを、残された側から切り離し接触できなくする。子どもを間に挟んでの壮絶で長期の裁判や話し合いが始まる。

 親権を取り養育費、生活費を獲得するための夫婦間の攻防戦への対応経験を私は持っていないので、先輩当事者に今回の当事者への助言を求めることとして、本日はリモートで3名であれこれと情報交換を行った。同様の経験をされている方同士が顔を合わせて交流することは、その辛さを分かち合うこととなり、気持ちを前向きに維持する上で効果が高いことを今日も改めて痛感した。地獄のような日々を夫に与えてしまっているこの顛末を本当に母親側は望んでいたことなのか?近くにいたら聞いてみたいと思った。離婚は珍しくはない中、養育費、生活費、子との面会交流条件等を普通に話し合っていくことの方が、今後長い子育て期間、しかも母子家庭として不安定さを抱える中で、子育ての協力者、協力を喜んで引き受けてくれる父親がいることはメリットではないか?何よりも子どもから父親を奪わずにすむ。

 先輩当事者は5年もの長期に及ぶ裁判を経験したという。『子どもは母親の付属物』という感覚が強く、残された父親の主張はほぼ通らないという。2026年から始まる共同親権制度に向けて、父親側が親権を維持しておくことが、今後の子どもとの面会交流実現の重要な要件となるとの見解だ。一方で、連れ去った母親側に子の養育環境を不安視するような精神疾患、母親からの暴力等があると通報が児童相談所に入ると、ここで児童相談所はその疑いを持っただけで、子どもの安全のために一時保護をするという動きに出る可能性が高い。その疑いが完全に晴れるまで、そして、離婚調停、裁判が決着して親権者が確定するまで、子どもはどちらの親元にも戻れなくなってしまう。愛する我が子が今度は児童相談所に連れ去られ、子ども、母親、父親という家族全員が、思ってもみなかった最悪な事態に巻き込まれ、親たちの力ではどうにもならなくなっている事例を多々見てきた。

 法律や国際条約が謳う「子どもの最善の利益」のために、子どもが犠牲となるような無用な戦いを回避して、妻と夫相互の実を取るための話し合いで解決して欲しいと祈る。