「リュックサック方式」という言葉を以前教えてもらった。県内でフリースクールを運営している知人から。ヨーロッパでの福祉予算執行の考え方を言うらしい。
簡単に言えば、子供一人一人がリュックサックを背負い、その中には自分自身が使うことのできる現金が入っている。保育所に行く、学校に行く、学校が嫌ならフリースクールに行く等々。それぞれの子供が選んだサービスを受けることに、この現金が使える。利用者主体に公的費用を使う考え方だ。

一方で、日本のリュックサックは自治体が背負っている。自治体が認めたサービスを受けるときのみ、公費が提供される。学校が嫌だからフリースクールに通っても、このお金は使えない。フリースクールを自治体が用意し、そこに通ったら使えることになる。これは、提供者主体に公的費用を使う考え方だ。どちらが公正か、どちらが経済性にかなっているか。
今日、千葉県の子育て支援課に電話した。コロナ対策で学童保育を朝から提供していただかねばならないことに対して,補正予算が組まれているからだ。リュックサック方式なら、利用者が利用した分だけ、提供いただく事業者に支払えばよいはず。しかし、日本では個人にリュックサックはなく、自治体が大きなリュックサックを背負っているので、自治体が認めた学童保育所のみが公的資金で運営費が補填されている。利用者負担で自主運営している学童保育所が、※コロナ対策として、学校の代わりに学童を朝から受け入れても、そこには一切の公費は使われない。同じ住民・納税者が差別されている。それ以上に、自主自立の民間サービスを邪魔もののように冷や水を浴びせている。自治体に権力を集中させている、こんな構えでは多様な福祉事業は生まれてこない。

※その後、当該自治体に確認の結果、コロナ対策は国の緊急対策で在り、自治体で要綱をつくり、公費支出を行うこととしたとの結果を得た。適切な判断で良かった。