成田空港と都心を結び、内陸部の安定した地盤を走る北千葉道路。国家プロジェクトとして、令和3年度から事業がスタートする予定だ。「早期実現」という旗が各地で振られているが、どの様な道路になるかはほとんど知られていない。この間、2年半かけて、鎌ケ谷市含む沿線各地で説明会や意見募集が呼びかけられてきた。参加者は少なく、説明を聞いただけで、市民が理解できるできる代物ではない。専門家に解説を求めた。
この道路の懸案は、アップダウン構造のため、一日通行台数わずか4万台という設計にある。千葉から都心に向かう京葉道路の通行台数は30万台、東関道は20万台、アクアラインは5万台、館山道は8万台の車が走っている現状。北千葉道路が4万台で済むわけがない。成田空港拡張計画がある中、10万台それ以上の車が走行できるよう、高速で通過できる道路を造って欲しい。
去る10月21日千葉県知事に、22日鎌ケ谷市長に向けて、地元住民160人連名で、道路の設計方針見直しを求める要望書を提出した。その理由は以下の通りだ。
①アップダウン構造の走りにくい北千葉道路
費用がより少なく済む高架方式を中心に設計する基本方針で始まったが、実際には、自衛隊下総基地の空域、新京成線車両基地、北総鉄道線路という既存施設への支障がないように、一部地下化が必要となった。結果、鎌ケ谷市から市川市までの9.5キロ区間が、地下から高架へ、そして再び地下へ、また高架へ、最後は地下奥深くにある外環接続部へつなぐ、アップダウンを繰り返す走りにくい高速道路となることが判った。
②地下化意見が封印された鎌ケ谷都市計画審議会
このアップダウン傾斜の多い道路に大量の車を走らせると、膨大なエネルギー浪費となる。より高速走行が可能で機能的な道路となるよう、地下化すべきとの意見が、平成30年2月と令和元年8月の鎌ケ谷市都市計画審議会にて指摘された。しかし、市事務局は「すでに高架方式は合意されていることなので、今さら振出しに戻るような意見は県に対して出せない。」と繰り返し説明し、地下化の意見は表に出ることはなかった。
③県道船取線を分断せず活かして欲しい
16年半前、新鎌ケ谷土地区画整理事業が完成し、近くに開通予定の船取線バイパスと合わせて、2本の幹線道路で交通をさばくことになるはずだったが、この計画では既存の県道船取線を止めてしまうという。北千葉道路地下化が実現すれば、分断されてしまう船取線は、その上をまたぐ形で通行可能となり、誕生した新鎌ケ谷地区の価値が保てることとなる。
④地下化によって農地等の活用可能性拡大
地下化によって、上部の農地等が様々な形で利活用可能となる。さらに現行計画では、道路高架橋の両側に設置される一般道路が、片側3車線もの広大な設計となっている。片側2車線に縮小すれば、地上部の利活用面積はもっと広がり、地権者にとっては道路用地買収後に残った土地も、まちづくりの資源として生かせることになる。
⑤持続可能性を追求した100年活用道路を求む
新型コロナパンデミックを経験した今、北千葉道路アップダウン構造、および県道船取線分断への再検討を行い、環境負荷の軽減と持続可能性を追求した、100年活用道路へと設計変更を求める。