虐待から子供、高齢者の命を守らねばならない事例は即保護が必要に違いない。一方、虐待が疑われるので・・との理由で長期間、家族から引き離すことで、どれだけの心理的打撃を保護された子供、高齢者に与えるか、想像は容易であろう。

しかも戻った子供の発言からは保護理由さえ見当たらない場合がこれもまた多い。
「父母がケンカしたときに、母さんが僕に八つ当たりするので、家に帰りたくないといったら、友達の親に警察に連れていかれて、そのまま児相に保護された。大事になってしまったと思った。」という中学生。3か月以上保護所にいて、何度も返してほしいといったが、聞き入れてもらえず、反発から、中で暴れたり、何度も逃げようとして、2階から落ちて大けがした。4か月たった今も怪我した腕がまっすぐ伸びないという。
担当者が相手を虐待者だと思い込むと、事情は聴かない、説明はしない、支援者の同席も許さない・・・まるで人権などないに等しい扱いをする。子供の利益最優先といいながら、「早くパパを家に戻して」という子供の訴えも、判断を遅らせて子供のストレスを募らせていく。

虐待対策は諸刃の剣であることを、肝に銘じて事象に当たってほしい。誰かの命を守るためとはいえ、別な家族を瀕死の状態に追い込んでよいはずはない。
写真)保護所から落ちたけがで、腕がここまでしか伸びないと訴える中学生。