先日、福島県浪江町の復興担当職員から二本松市の浪江町役場にて、1年後の住民帰還に向けた準備の話を聞いた。その中で、これまで3つあった診療所がすべて町に戻る意思はないとのことで、やむを得ず町立診療所を設置し、来てくれる医師をこれから募集するとの説明があった。まだ、めどはたっていないとのことだ。
夕張市の医療、長野県の医療を参考に、単に医療機関さえあれば良いというものではなく、せっかく一から始めるのであれば、理想の地域医療を作ったらどうかという話をした。時間を提供いただくのも申し訳ないほど、あれもこれも全て1年後に向けて動かねばならない担当者の仕事の複雑さを強く感じたものだ。
夕張、長野、浪江の現状はすべての地域における近未来の姿である。夕張市での取り組みをまとめられた2人の医師の著書から、壮大な社会実験の結果が読み取れる。タイトルに掲げたように、病院閉鎖後の方が、ガン、心臓病、肺炎の死亡率が下がっているのだ。その一方で老衰での死亡数が高まっている。病院依存体質を止め、健康への関心度が高まるにつれて、医療費は下がり、救急車の出動回数は激減し、死亡率が下がる・・日頃の疑義が溶けるような納得の結果がすでに示されている。
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