報告時期が後先になってしまったが、先月10月27日・28日と鎌ケ谷市議会総務企画常任員会の視察で岩手県盛岡市と滝沢市にうかがった。岩手山の美しい稜線が目に飛び込んでくる盛岡駅に降りると、ひときわ寒い。やはり東北だ。朝夕行きかう人は冬用の身支度をしており、我々のようなコートなしの者は肩をすぼめて歩いているので、出張客であることが一目でわかる。
盛岡市の議長からの挨拶の中で、「東京一極集中の中で、地方都市の議員として何ができるかが目下の我々の課題なのです。」という話があった。盛岡のベッドタウンであるお隣滝沢市の職員も「皆さんは東京のベッドタウンでまだよいが、私たちは裕福とは言えない、『ケね』=劣っている、良くないと、こちらの言葉で言うんです。」との発言があった。東京と地方という対極の捉え方を強く感じながら仕事されていることを、首都圏の私たちはほとんど意識せずに暮らしていることを思い知った。今回の視察は、主に公共施設適正化計画、マネジメントについて話を伺ってきた。

■滝沢市感想
議場入口に、議会主催の地域別報告会の写真が掲載されており、議会が市民の代表機関として、市民に対して正面から向き合っている事が実感できた。執行部と議会が民意をどう聞くか競争をしている状況という説明に感心した。それをルール化した住民自治条例も制定されている。このようにお互いの顔が見える地方都市は、はるかに市民合意や市民参画が、実態として進んでいる事が分かった。
財政課職員が、財源確保について大変苦労させている様子がうかがえる一方で、企画政策課職員は、お金をかけずにできる業務内の工夫や住民幸福感アップの工夫に取組み、表情も朗らかで自信に満ちていた。「行政主体から市民協働へ、住民協働で地域経営の視点、顧客満足向上を目指す」という、高い志をもって業務に臨む若い職員の表情から、滝沢市が着実に住民自治へと脱皮しようとしている印象を受けた。
当市も真剣に一秒一刻を浪費せず、すべき課題に解決に舵を切るべきである。

■盛岡市感想
住民合意を得られる計画をつくり、実行する事が当然のことであるという認識に立っていた。一方当市は、実施計画も個別計画もパブリックコメント程度で合意を得たという、便宜的手法であるが、これでは住民の満足感は高まらず、もっとこうすればという不都合が発生しかねない。焦らず、住民合意の仕組みを実行すべきであり、それが当たり前である。
今後、施設の改修予算に多くの財源が必要とされるとのことで、その財源は、建設事業の抑制によって生み出されると見込んでいる。当市では公共施設の起債返還率が、周辺市よりも低くなっており、更に昨今建設した施設に新たな起債をしている為、まだまだ、補修費に財源を回せる状況が整っているとは言えない。
いずれの自治体も其々の工夫の中で、市民の満足感、幸福感を追及している事に変わりない。住民に現状を分かるように伝える事で、むしろ、計画を後押ししてくれるような意見がほとんどであることを実感したという。知らせず、意見も出されないまま予算が執行されていく当市の現状は、一部には都合がよいかもしれないが、住民協力を得る事が出来ずに行き詰まることが想定される。そういう意味で、当市も市民参画に本腰を入れることによって、市民の満足感が高まるものと今回の研修を通じて理解できた。

岩手山と石川啄木、宮沢賢治の故郷、岩手県

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