80代で一人暮らしになったらどうなる?
一緒に暮らしていた60代の子供が先に亡くなってしまったという80代女性の相談を受けた。高齢になってから突然家族がいなくなるということは、何をどうしてよいのか立ち往生してしまうということになる。本人自身も在宅ながら介護支援が必要な状態であり、個別サービスがいくらあったとしても、そこに手が届かなければ利用はできない。この80代女性のケースに対して、現在の鎌ケ谷市の仕組みで対応できるのは、せいぜい介護支援サービス程度だ。しかし、この女性は遺族としての年金手続き、残された財産の引継ぎ、自身の今後の健康状態やもしもの時の対応など・・方法も分からず心配事だらけで暮らしている。この実態への対策には現状の刻まれたサービスでは、全く対応ができない。
「生活支援コーディネーター」の必要性
全ての施策で重要な条件は、第一にどの程度そのサービスを容易に利用することができるのか(アクセス)、第二に個人と社会の双方にどれほどの費用を課すのか(コスト)、第三にサービスの質はどの程度確保されるのか(クオリティ)と言われている。鎌ケ谷市で不足しているのはまずアクセスの仕組みだ。
お隣り船橋市では県内初の高齢者生活包括支援サービスが始まった。24の地区コミュニティ毎に地域ケア会議という機関を置き、生活支援コーディネータを配置するという。中身を見ると、例えば、あらかじめ委任契約を結び、預託金32万円を預けておくと、死亡の際の遺族への連絡・火葬・家財整理までを一括実施してもらえる。また有料で、金銭管理や財産保全、掃除、洗濯、買い物などの生活支援もしてもらえる。これだけでも80代一人暮らしの心配事は消えてしまうのではないか。自治体に求められる対策は、申請待ちではなく、生活の困りごとに一歩踏み込むコーディネート機能である。