この記事は気持ちを集中して読んで欲しい。私はこの8年間、市が公表する財務資料を自分のPCでExcelに書き写して、それらの項目ごとの数字を組み合わせたり、項目通しの関連をグラフをつくってみて、自治体の財務資料がどういう基礎データから作られているのかを、概ねわかるようになってきた。見えてきた現実を市民に発信してきた。
 概ねわかるようになるということは、何年もの基礎資料を発表されるたびに加えて、いろいろな角度から読んでみよう努力してきた結果だ。だから、市長が公報で市民に伝える内容がウソであることがわかる。我々は事実よりも「現状に問題はないことを信じたい」「安心したい」と思う傾向があり、自然災害は自分の身には起こらないで欲しいと同様な心理だ。安心したい気持ちに沿うかのように市長が事実と違うコメントを提供していることがわかる。なぜそんなことをするのか?自分自身の仕事が成果を生んできたと市民に信じ込ませるためにだ。なぜ職員がその指示通りの作業をするのか?職員は公務員であるには違いないが、上司の命令に従うように宣誓しているらしい。事実と違う命令が出ても従うのであろうか?ここには葛藤があるはずである。
 市長が万が一、知らずに「過去最高の黒字額」などと信じて発信しているとなると、相当な能力の低さである。ウソをつくのは倫理・道徳・責任の欠如であり、知らないとすれば市長としての基礎能力の欠如ということになる。市長が選挙公報で、「行財政改革の成果によって黒字額が年々増加」というグラフを先般市民に発信している。

清水市長の選挙公報の一部

 
 清水市長は市の実質収支を「黒字」と表現している。一般に黒字とは、財政の健全さをイメージさせる言葉である。実質収支は 歳入―歳出をいう。わが市では将来の支出に備えて積立金が必要である。毎年予算を余らして、翌年度以降に回さねばならない、その金額が実質収支である。実質収支が大きい、過去最高ということは、今年度使える金額が過去最低に縮小することであり、財政の厳しさを表す数値である。サービスの低下を表している数値である。市長が誇らしげに示してる数字は黒字とは真逆な厳しさのバロメータである。

 正確にいれば、「税収が横ばいにも拘らず、社会保障費が激増している。近年の借金の増加も大きく、将来返済を行うにあたり、人口増税収増は見込めない以上、財政破たんを避けるために、毎年の皆さんのサービス、事業を縮小し、積立金に回さざるを得ないのでご理解ください。」が市民への正確な情報提供である。「3年後には貯金全て取り崩しても、予定した事業予算には財源が不足する。」という3月予算議会での職員の発言と状況認識は一致しているではないか。

 近年のわが市は積立金の取崩額が積立額を上回ることで、年間予算をようやく組んでいる状態である。「黒字」という言葉をあえて、財政が健全だと勘違いさせるために使用している。これはあまりに愚かで無責任である。現実を伝えて、市民にも無駄遣い自粛への機運を持っていただかねば乗り切れないはずだ。

以下が市長が言う実質収支黒字と他の決算項目との関連をグラフにしてみた。なかなか理解しにくいと思うが、解説が必要な方はどうぞメールで問い合わせください。
kamagaya@iwanamihatsumi.com

実質収支は増加しても実は赤字決算

毎年の実質収支よりも、毎年の借金がはるかに多い。

実質収支の半分以上は積立するが、近年は取崩額が上回る