今回安全保障法案の廃案を求める人々の行動と、無表情に採決に突き進む国会議員らの表情を繰り返し見るにつけ、35年前に受けた大学での社会学の講義を思いだす。
社会を支える一つ一つの柱が少しずつ揺らいでも、抜き取られても、見える景色はすぐに変わるわけではない。しかし、ある日突然この景色は一変する、保ちきれなくなった時に瓦解するのだ。幾多の不穏な事象が重なってきても、どうせ変わらないといって、投票にすらいかない国民をあざ笑うかのように、既得権組織が議席を獲得してきた。その結果がこの法案強行採決だ。
私は日々、地元の自治体の動きを見続けている。市民に何も知らせないまま、一部執行者の思うままの意思決定を議会が追認し続けている。公園の使用基準さえ勝手に変えられて、安全保障集会は公園の使用申請すらできなかった。一つ一つの小さな柱が溶かされている。市民の知らぬ間にである。小さな権利のはく奪に無神経でいると、大勢の人権を脅かされる事態へと一変する。気を引き締めよう。