12月定例議会で3.3億円追加で32億円の庁舎改修工事費用が議決された。追加工事は鉄筋の錆落としや消防設備のケーブル取り換えなどであり、今の庁舎を100年使うための大掛かりな改修工事という。ところで、100年使うって誰がどこで決めたことなのか?役人さんが内部で決めたことらしい。議会には諮られたことはない。こうした重要な方針が一部の方でいわば勝手に決められていく。その結果、32億円かけての免震工事が優先され、場所を移しての庁舎建て替え方針は却下されたのだ。市民は蚊帳の外・・・これで良いわけない。たとえ結論は同じであっても、あらゆる方向からの議論はせねばならない。個人の財産ではないからだ。更に方針次第では、今後かかる公費の使い方を大きく左右するからだ。合意形成の手間を面倒がるのは何故か?この作業こそが役所に委ねられた一番の任務である。執行権は役人にあるが、議決権は市民(議会)が持っていることをお忘れではあるまいか!
 100年以上改修を重ねながら使う施設とはなにか?私の出身県は山梨県である。18才まで暮らしていたものの、山梨県庁など一度も出向いたことはない。もしかすると遠足であったかもしれないが記憶にない。甲府駅を降りるとすぐ目の前に、昭和初期完成のクラシックな建物が目を引く。ここが山梨県庁。先日、田舎に帰った際に、1時間ほど電車の待ち時間を確保して、初めて県庁に足を踏み入れた。どこかに施設の説明があるはずと思い、予想通り、庁舎内に展示室が整備されていて、当時の知事室や応接室、更に正庁と言って大事な集まりに使ったという部屋が当時の様子其のままに再現され公開されていた。庁舎中央の大理石でつくられた階段を使って、職員は日々の業務を執行している。今のオープンカウンターの役所と違い、それぞれがドアで区切られた部屋になっているので、各部屋の中をのぞくことができなかった。昭和初期というと、満州国の次期国王を日本の軍部が爆発物を仕掛けて殺してしまうという満州事変がありその後戦争に突入する。治安維持とのかけ声の下に自由な発言が封殺された治安維持法の時代だ。空襲の惨禍を逃れたという県庁の建物。こうした時代を思い起させるのがレガシー(建築物遺産)である。
歴史的文化財遺産とはこういうものをいう。資産家か公的施設でなければ、これだけの施設は造れないからこそ価値があるのだ。わが鎌ケ谷市庁舎が後60年先、建築100年をどう迎えるのであろうか?過去の時代を惹起させるレガシーになりうるのか・・イメージがわかない。

今も使用している山梨県庁の庁舎

今も使用している山梨県庁の庁舎

中央の大理石階段を使い、職員は執務している。

中央の大理石階段を使い、職員は執務している。

正庁という、公式行事や来賓の接遇を行う特別室。当時の姿に復元して庁舎内にて公開している。

正庁という、公式行事や来賓の接遇を行う特別室。当時の姿に復元して庁舎内にて公開している。