家庭内での落下事故で頭部に線状骨折と出血という外相を負った乳児。家庭内重大事故として、大学病院は院内の虐待対応を決定する機関を通じて、児相に通報があり一時保護となった。虐待の場合、他の全身状態も異状があるのでその検査もして、異状なしの所見が確認できたが、それでもオーバートリアージが原則の児童虐待対応によって、通報がなされた。病院は判断を児相に任せるが、児相職員がそれを見て判断できるわけはなく、セカンドオピニオンをさらに2カ所からとり、虐待の可能性はなく事故であると判断が示され、その結果を受けて児相は解除を決定した。

この流れで最も時間をとっていたのが、一時保護からセカンドオピニオンを出すまでの時間、一カ月以上かかった。自分たちで判断できないわけなので、直後に対応すれば、10日間程度で解除の判断はできたと思われる。こういう一つずつの行動を早めて、一時保護期間を短縮させることは十分可能だ。この42日間で父と母は想像を超える心労を抱え、子どもの体重は増えない、成長が止まってしまうほどのストレスを抱えることとなった。安易に一時保護をすることが是とされているが、その副反応は大きい。今回は、医療機関がきちんと判断をしていただき、戻ることとなったので、最悪の事態は防ぐことができて良かった。