暑さのため、可能な限り事務所にて作業をするようにしている。そうすると、毎日数人から児童相談所の件で問い合わせが入る。しかも全国各地から。一昨日は、静岡県在住の父親から泣き叫びながらの訴えが入り、しかもそれは、小規模な児童相談所の中からで、所長を前にして面談の最中であり、一緒に話を聞いて欲しいというものであった。所長は最初は知らない方(私のこと)に個人情報を伝えられないとはおっしゃっていたが、親権者の自分が良いと言っているんだから話してもらって結構!となり、それ以上に、我が子とどういう気持ちで日々暮らしてきたかを泣きながら訴える父親、所長が何でもできるというなら、今すぐ返してくれという祖母。我が子と8カ月も引き離されている家族の憤懣は爆発しており、「お応えできません、会わせることはできません、どこにいるかは伝えられません云々」の児相の常とう句では収まりようもないほどに感情があらわとなった面談現場となっていた。

「皆さん公務員でありながら、市民をこんなに追い込んで子どもの最善の利益が確保できるのですか?」と述べ、私が交通整理するから家族再統合の道筋を児相に整理してもらいましょうと呼びかけ、私が面談に同席することはその場で承諾され、静岡に出向く日程を児相長と調整した。こうした一人一人の差し迫った実情に触れるたびに、自分に権限がないことが歯がゆいことではあるが、それでも児相長に対して、市長に対して、裁判官に対して、自身の意見書を発行するという作業に追われる日々となっている。正に第2次世界大戦の最中、外交官杉原千畝氏が時間と場所を問わず書き続けてきた『命のビザ』発行の気持ちに重ねながら、一人でも多くの児童を不必要な親子分離から救い出したい思いで行動している。