2024年12月2日、歴史的建造物である神奈川県庁の大会議室、かつての県議会議場にて、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(困難女性支援法)の意義と女性の福祉、特に若年女性への支援、母子の生活支援等々をテーマに勉強会が開かれた。主催は、神奈川県議会超党派で構成されている女性県議の団体だ。会場には、横断的施策が必要であることから、県庁の各部局の職員らも勢ぞろいして、非公式でフランクな第二議会のような印象で、整備すべき制度とそれへの財源の手当てなどについて、突っ込んで聞く側と返答する執行部側がいて、活発な政治の場面を見ることとなった。

この勉強会には、厚生労働省女性支援室長が参加されており、困難女性支援法が目指す社会を説明いただき、日本が家族や母子支援こそ福祉の中軸として旗を掲げるようになったことに対しては、基本的人権をうたう憲法の理念に沿って心強い思いで聞いた。そこで思うのは、いくら支援法が動いたとしても、児童虐待防止法が目指す躊躇なしの介入が先行しては、結局支援の手が必要な家族が強制分離され、支援策の届けようがない事態を解消できない。福祉施策には提供の順序がいかに大事か、それによって使える制度も使えないとなるからだ。

もう一つ印象的なエピソードとして、横浜市が繁華街巡回を週3日行い、若年女性たちから悩みを聞く取り組みをしているという。がなかなか必要な方々が支援の手をつかんでくれないという。それを聞いて思うことは、何か相談したら児童相談所に筒抜けになって、強制収容され知人や家族とも引き離されるという実態が知れ渡りつつある中では、せっかく用意してくれている支援制度も怖くて使わないという思いが発生しても当然と言える。

終了後に室長とも話したところ、「ひとたび介入が行われてしまえば、塀の向こう、手が届かないところに行ってしまう、事前にこちらが関われれば、分離が避けられる場合もある」という認識を示してくださった。同じ省庁内の法制度が両立できていないという現実の矛盾を認識してくださっていることがわかりそれは一安心した。今後、介入の前に支援を手順を正していってもらえるよう働きかけていくことを自身に誓って、会場を後にした。