2019年1月24日、間もなく6周忌となる野田市の小学4年生女児が父親の暴力で亡くなった。その直後の4月の統一地方選挙で私は千葉県の県議会議員となった。その後千葉県と野田市は互いに死亡事例検証報告書を提出した。その検証報告書からわかることを自身の県政報告に記載して、市内各世帯に配布したことがきっかけで、それを見ていただいた市民の一人が、私の報告会に来ていただき「私の孫が心当たりのない理由で児相に連れていかれた」と訴えられた。その後、息子さんである孫の父親と会い、児童相談所問題にかかわるきっかけとなった。

前述の死亡事例検証報告書からわかったことは大きく2つあった。ひとつは、父親との面会に臨んだ野田小学女児は、「部屋に入った途端、正面に座っている父親の視線から自身の姿を隠すように職員の服をつかんで、その陰に隠れようとした」という。そして、「言葉では伝えられない拒否の気持ちを行動で示したにもかかわらず、児童相談所はその父親の元に、この女児を返してしまい女児は命を落とした。戻された女児はどれほどの絶望を感じたか」と報告書に繰り返し記載されている。さらに野田市は何をしていたのか?「子どもを返しては危険であると分かっていたが、県の判断に口を挟むことはできなかった」と言い、それに対して報告書では「児童虐待対応では県と同等の責任を持つ市が、その責任を果たさなかった」と強く指摘していた。野田小学女児はその事件によって関係する我々に多くのすべき事柄を残してくれた。

以上より、児童虐待の防止、子どもの命を虐待から守るためにすべきことは大きく2つ。以下をこども家庭庁に理解してもらうよう諦めず訴えていくつもりだ。

1.親子面会は親子の関係を確認する最も有効な機会となるので、早期にかつ積極的に、確認作業の意思をもって組み込むことで、虐待対応の判断が素早く正確にできる。不必要な親子分離を回避することができる。

2.市町村を県と同等の責任機関として再認識させ、市町村に権限と責任と人員を置き、市町村の情報量と機動性を活用して、初めて虐待から児童の命を守ることができ、かつ、分離の必要のない行き過ぎ保護を抑制することができる。