昨日は、行政不服審査に係る母親による口頭意見陳述の補佐人として、私も発言する機会を頂いた。子の施設入所を求める児童相談所が裁判所に提出した書類は、東京高等裁判所によって多数の補正が加えられた。その一つが、児相が訴えてきた母親による子への身体的虐待はなかったという判断で、その文言が削除された。では、何の虐待で、子は施設に送られるのか?

事実として認定されていたのは、①不登校気味の自閉症の孫に対して、祖母が「学校に行くように、給食だけでも食べてくるだけでも良いから」といった言葉が、子を傷つけて心理的虐待を与えたという主張だ。②外でいい子を演じ、家で暴言(くそばばあ、出ていけ等)を吐く孫に対して、「この家にいなくてよい」と応戦の際に行ってしまったことが、ネグレクトという育児放棄にあたるということで、この2点の事実によって、この子は施設入所させられることなり、親との面会通信制限がかけられる始末となった。

そんなどこの家庭にでもあるようなやり取りだけで、虐待と認定するのは尋常なことではない。自閉症の中学生は、他人にその気持ちを表現する力を持っていないため、子が親を拒否している、虐待を受けてきたからだと誤解を招く。発達特性を持つ子どもへの聞き取り時の配慮が行われたようにも見えない。

これは児童福祉法の原理である、家庭での養育を支えるはずの公的機関がその役割を放棄しているとしか思えない。